スロトレ(スロートレーニング)とは
スロトレは、比較的軽い負荷を用いて、ゆっくりと動き、筋肉にじわじわと持続的な力を与えるトレーニング方法です。
中腰の状態をキープする「空気椅子」というトレーニングを思い浮かべてください。
「空気椅子」が辛いのは力を入れ続けているからです。スロートレーニングはこの「空気椅子」と同じように力を入れ続ける状態をわざとつくるトレーニングになります。
力を入れ続けるとどうなるのか?筋肉はぐっと力を籠めると硬くなり、その部位の血流が制限されます。これを続けると酸素供給が間に合わなくなり、その部位には無酸素性の代謝物である乳酸がたくさん蓄積されます。この乳酸による「化学的ストレス」によって筋肉は激しい運動をしたと勘違いすることが分かっています。これは物理的な(重いバーベルを持ち上げるなどの高強度の)筋トレをすることで生み出さる乳酸とほぼ同程度だということが分かっています。つまり、重いバーベルでのベンチプレスとスロトレでの腕立て伏せの効果は同程度ということになります。重い負荷を与えるトレーニングは筋肉や腱を痛める危険があります。スロトレの場合は負荷が軽いのでそういった危険性が圧倒的に少ないのです。また、大きな器具を必要としないためジムに通う必要もありません。手軽に始められ、効果が高い、それがスロトレなんです。
スロトレを行う時の3つのポイント
1.ゆっくり動く
スロトレは「3秒で上げて3秒で下し、1秒止める」というスピードが基本。回数は5~10回にする。これを10回できるようになったら「3秒で上げて5秒で下し1秒止める」さらに「5秒で上げて5秒で下し1秒止める」などとするといいでしょう。下げる動作の方が筋肉が発達しやすいのでどちらかだけ時間を延ばす場合は下げる方の時間を延ばすようにします。スーパースロートレーニングと呼ばれる方法では「30秒で上げて30秒で下し1秒止める」そうです。秒数は感覚だと狂うので時計を見ながら行いましょう。重要なのはゆっくり動作することでじわじわと持続的な力を筋肉に与えること。早く動くとどうしても勢いがついて力が抜けてしまう瞬間が出来てしまいます。特に上げはじめと下しはじめは動作が速くなりがちなので注意しよう。
2.ノンロック
肘や膝を伸ばしきってしまう(これを関節をロックするという)と、そこで筋肉に加わっていた力が抜けてしまいます。動作は肘や膝が伸びきる手前まで。例えばスクワットなら立ち上がり切る前にしゃがむようにする。スロトレのスクワットはいわば「空気椅子」のような状態で上下する動きとなります。他の種目も同じく筋肉に力がかかり続けた状態で動作を繰り返すことが重要。
3.正しいフォーム
正しいフォームが出来ていない本来目的としている筋肉以外の筋肉も使うことになりせっかくの筋トレの効果が減ります。また怪我の原因ともなるので注意しましょう。
スロトレがちゃんとできている=パンプアップ
ノンロックかつゆっくりとした動きがきちんとできていると、筋肉に多量の乳酸が蓄積します(これは筋肉を発達させるシグナルの1つ)。乳酸が蓄積されると、それを薄めるために水分が集まってきて一時的に筋肉が水膨れの状態となって膨張します。これがパンプアップです。
トレーニング中に筋肉が熱くななり張ってきた感じがすればスロトレがうまくできている証拠です。逆に筋肉が張らないなら動作のどこかで力が抜けているか正しいフォームでやっていない可能性が高いです。動作が正しいのにパンプアップしないのであれば負荷が弱いので秒数や回数を増やしましょう。
超回復について
高強度の筋トレと同じ効果のあるスロトレをきちんとこなせば超回復がおこります。
超回復とは痛んだ筋繊維が修復される時に前よりも太くなることです。この超回復があるために筋肉は強く大きくなるのです。この超回復には部位によるが24~48時間かかるといわれています。超回復中に同じ筋トレを行うことはすでに痛めた筋肉が回復する前にさらに痛めることになるので筋トレの効果がないどころか故障の原因になります。したがってスロトレ(筋トレ)は週に2~3回。一度行った種目については最低でも1日、できれば2日あけて行うようにしよう。